モーターサイクルツーリングに思うこと

海森 寄与師老です。今回の出張の週末は、ミュンヘンからユングフラウ迄、峠道を経由しながらモーターサイクルで行きました。最近では、モーターサイクル自体は乗るものの、ツーリングはしていませんでしたし、ツーリングは、【ダメな趣味】だと思っていましたね。日本国内では、取り締まりを含め、経済的にも、時間的にも、合理的ではないからです。しかし、ヨーロッパ大陸の、アルプス山脈の中を走ってみると、モーターサイクルにとって環境の良さに吃驚します。湿度が低くて、快適に走行できるというだけではないのです。スポーツカーでも道を譲ります。グロスグロックナーではイギリス・ナンバーの911カレラ2に道を譲られ、『えっ、そっちの方が速いぞ!』、外側が谷側になるカーブだというのに、『行くんですか?はいっ!怖えっ!』とヘルメットの中で叫びながら全開で走っていました。ライディングも観られていますね。

写真は、フランツ・ヨーゼフス・ヘーエ展望台2,362mから観るグロスグロックナー3,798mとパステルツェ氷河です。途中で抜いた911カレラ2のイギリス人ドライバーがシャッターを押してくれました。グロスグロックナー頂上が切れているのはご愛嬌。ライディング・ウェアの下は裸でしたので隠します。ギャランドゥ?いえいえ私はツルツルですよ!

モーターサイクルはヨーロッパでは大層コストがかかります。大きい出費は保険料です。半年更新なので大抵、5月から10月だけ有効にし、冬は乗りません。お金持ちでもです。というより、お金持ちの大人の趣味なのです。ホテル、カフェ、土産物屋の駐車場だって、乗用車や観光バスを差し置いて1等地。ライダー達は極力お金を使う努力を怠りません。誰だって、食事だけに、お金を使えば直ぐにデブですね。ちゃんと稼ぎ、ちゃんと納税し、ちゃんと高額な経費を払い、やっと乗ることが出来るため、ライダーはその国の若い世代のお手本だそうです。デブになってはいけないそうです。食事にではなく、高級ノベルティにお金を使っています。社会的なステータスだけではなく、趣味にもステータスがあって、遊べない者はダメだ!ということらしいです。そういえば、過去にイギリスの観光大臣が、私の勤め先の(生産工場の)見学にいらっしゃいました。自前のドゥカティ999に乗って、レーシングスーツで、颯爽と公務にいらっしゃって、颯爽と次の訪問先のBMWの工場へ向かわれました!公用車送り迎えの日本の地方自治体の首長達も見習って欲しいです。通常公務なら、自前の軽トラかパパチャリで通って欲しい。公用車も元は税金ですから。

BBQ、デブ、低いシート高、煩い排気音、の不良にもなれないオヤヂと世界が違います。日本国内で観かける、テントにシュラフの組合せもいなくて、皆さんホテルにお泊りです。コルチナ・ダンペッツォのホテル付帯バーには各国のライダーがいて、楽しかったです。ロシア人ライダーに、『イポーニェッツ!』と呼ばれ、そのホテルで私は、【イポーニェッツ】という名になりました。イポーニェッツは露語で正しい意の日本人のことです。良く知られる、【ヤポンスキー】は蔑称、とオーストリア人ライダーが教えてくれました。ロシア人ライダーも西側風習に合わせ、他方法での旅行者のお手本になるべく振る舞っていたのですね!昔、’75年頃かな?私が中学校の頃に、【いわたげん】というジャーナリストがモトライダー(三栄書房)という雑誌にヨーロッパ便りを寄稿していました。当時、免許もなく、ライダーではありませんでしたが(当たり前)、鉄道旅と共に、モーターサイクルツーリングは人生の憧れになりました。鉄道旅は40歳で実現、モーターサイクルツーリングは50歳でした。

鉄道旅は、其処に行くことが出来、乗る時間があれば実現可能で、敷居は高くないです。モーターサイクルツーリングは、ライディング技量、標識等の運転情報処理、車両手配、まで必要ですから、かなり敷居は高いですよね。今回はBMW様に、お世話になりました。また行きたいです。次は本社ではなく、直営ディーラーで有償でお借りしたいと思います。ヨーロッパでモーターサイクルに乗るのは、一生の思い出になる出来事の連続でしたよ。その前にディスカバー・日本、かな!モーターサイクルに乗るのは不合理ばかりですが。ヨーロッパでは、お爺さんライダーも猛スピードで走っています!私だって、と思いました。少なくとも後25年は。警察?よきにはからえ!ですよ。こちらも、よきにはからいますよ!警察の交通取り締まりって、不合理と不条理の塊ではありますが、何かいったところで、何も解決しません。お金がかかるギャンブルだと思う様に。捕まらなきゃイイんでしょ!

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