【新規追記】鉄道敷地傍の農地転用について

海森 寄与師老です。昨今急速に普及しているソーラー発電の用地としての農地転用について述べてみたいと思います。農地転用は農地法第4条と第5条により、農林水産大臣(原則として4ヘクタール超)、都道府県知事(4ヘクタール以下)の許可が必要のため、かなり厳しく規制されてはいます。しかし、何事にも例外と抜け道はあります。特に鉄道敷地傍が標的になり易そうです。栃木県内でもそうな箇所があり全国何処でも同じ状況なのですが、いすみ鉄道沿線を例にしてみます。

2アール未満の農作物の育成、もしくは養畜の事業のための農業用施設に供している場合には、許可が不要で転用出来るのです。1アール=100m^2=0.1反、です。田としては小規模です。鉄道敷地傍は農地としては同じ地域内でも2流です。理由は、鉄道敷地から油脂分流入があり、予期せぬ不要な流水もあり、際の草刈りをすればバラストがあり、畦(くろ)塗りも不完全になりますからね。農地改良する場合、農道を鉄道敷地傍に先ず通すのも、鉄道敷地傍の農地をなくすためです。古くはSLの煤煙の被害もあった様です。農地改良していない場合は、2アール未満の田を鉄道敷地との間に設け、それより鉄道敷地から離れた1流の田の緩衝地帯としていましたが、震災の後でソーラー発電が流行したのは事実でありその際、真っ先に用地とされたのもこの緩衝地帯の2流の田です。これが最近になり、施行されたものが目撃されているのですが、これについてはそう心配しないで済むでしょう。というのも、いすみ鉄道敷地傍で農地転用されたところは少ないからです。問題になるであろう新手の手法というか、規制逃れというのは、これからはどんどんと増えてしまいそうなんですよ。

【栽培の継続と農地の収益性、農家の手取り額】はアフリカ農民の、【転作】の話ですけど、どこの国だって所有する農地を最大限の収益地にしたいのは、農業の健全な考えです。極端過ぎると、海外テロリストの所有する広大な農地でのケシやコカの栽培、となるのですが、今、日本でも産業用だか薬用だかと称し大麻の栽培を合法化しようという動きがありますね。大麻栽培が合法化されても露地栽培は盗難や種子の拡散など問題あり行えないでしょう。【農地の収益性】なら、大麻程に儲かる農作物は合法の範囲ではなさそうですから。そんな極端な例はともかく今現在、遊休農地、耕作放棄地が中山間地域、耕作条件不利地に始まっているのは収益の高い農作物がないというのが、高齢化より何より、最大の原因でしょう。【棚田】の様な観光的価値のある農地は農産物オーナー制度等にしたりすると途端に商品価値が上がり競争になります。平地農地より、山を分け入った山間地や、風光明媚な海岸沿いにある棚田のほうが、【田んぼオーナー】の価値は高いのでしょうかね。米そのものより、周囲の自然環境やストーリーに付加価値があるという感じ?棚田は平地農地で栽培するには小作料が高く払えない貧しい農民が開墾したもので、平地農地の方が古く、格上なのです。棚田は日本の原風景といわれますが、日本人の遺伝子レベルや潜在意識に田があるとするなら、それは平地農地ですよね?懐かしい風景中に山や川はあっても棚田自体観たこともない人が多いでしょう。原風景というストーリー性で、【観光農業体験】と農産物オーナー制度を両立させて、これを始めた人は相当知恵のあるプランナー。脱線しかけていますのでポイントを元に切り替えます。

最近、ソーラーシェアリングというアイデアが出現し、ソーラー発電に関する手法が変わりました。農地を農業と発電事業でシェアして利用することで農地の収益性を上げたものです。震災の後、ソフトバンク孫正義氏の提唱で、農地を一時転用してソーラーパネルで埋めませんか的なイケイケ営業のソーラー発電業者が自治体の担当者へ熾烈なアタックを決めていたのを見聞して震災後のドサクサに紛れて何やってんだ!と思いましたが、前述の通り、ある程度の広がりで収束しました。ソーラーシェアリングにソーラー発電業界が移行したのです。農地の栽培を邪魔せず、収益を上げ、耕作条件不利農地は、ソーラーシェアリングで遊休、耕作放棄地化を防げる、との謳い文句なのですが。これは農地転用する必要がありません。農作物の頭上にソーラーパネルを設けるのです。広い1流の田にも設置出来るのです。こんなものが、いすみ鉄道敷地周辺に広がる可能性が高いのです。【なにもないがある】どころではありません。【ソーラーパネルばかりがある】になりますよ?ではどうすれば良いのでしょう?こういうことを述べていた方がいました。文言は違うかもですが、ほぼ同義だと思います。『ローカル線がある。これを走らせ続けるために、このローカル線がある地域は観光地化しなければならないと思います。』地域があって、そのローカル線があったのです。走らせ続けるために、その地域がヒイヒイするのでは本末転倒ですよね。

P.S そもそも観光地ではなかった地域ですから、ホスピタリティの意識もないでしょうし、その教育も受けなかったのです。田舎程インターネットが必要なのは確かですが、都市部に一般受けするこの様な意見が、地域にも伝わってしまうのです。反感を持たれても仕方ありませんね。菜の花が咲かなくなったのは、この反感に対応するサボタージュの様なものですが、地域の協力がなくなっても実行しようと思えば実行出来ますね?ところが、ソーラーシェアリングが広く行われてしまったら、鉄道だけが目当ての観光客すら来なくなります。赤字が増し、鉄道の維持だけでも地域には相当な負担になるでしょうね。最近では、『余所者の話を聞け!』というトーンは大分下がった様ですけど、先ず地域を見方に付ける戦略が必要ですよ。今迄、鉄道敷地傍の2流の田も減反させず栽培し続けた苦労というか、いすみ鉄道に対する愛情も知らないままではね!

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