人の価値観も色々!石炭も色々?

海森 寄与師老です。千葉発のC58と両国発のC57の匂いが違う、と書いてしまったので理由を述べます。誤解のないようにいいますと、C58とC57の形式の違い(ボイラーは同じスペック)で匂いが違う訳ではありません。給炭所(千葉と新小岩)の違いと、給炭される石炭の質が違うことから、この様な現象が発生していました。

石炭は上等~下等で、無煙炭/半無煙炭/瀝青炭/亜瀝青炭/褐炭/亜炭/泥炭、とあり、日本で生産されていた石炭の多くは亜瀝青炭で、あまり高級ではありませんが、揮発分(多分、芳香族化合物)が多くて火付きが良く、千葉発のC58はこれをくべていたのです。子供だった私が大好きだったのは、揮発分を含んだ燃焼生成物の匂いだったのですね。モクモクの煙で、甘い感じの匂いです。大原駅で浴びては喜びました。C58が1番好きなSLなのもこの影響があります。

他方両国発のC57は上等な半無煙炭をくべていました。理由は定かではありませんが、電化済み区間(都市部)を運行するためだったのでしょうか。火付きが悪く、亜瀝青炭で火付けしてから給炭変更していました。テンダーに2種類搭載した様です。大網~土気間の坂道で大粒の石炭をくべたという伝説は火付きが悪い半無煙炭のことと思われます。炭素(C)含有量が高く、子供だった私が嫌いだったのは、不純物の少ない燃焼生成物の匂いだったのでしょう。向こうが観えるる位の薄い煙で、辛い感じの匂いです。大原駅で観ると機嫌が悪くなったそうです。C57が嫌いなSLなのはこの影響でしょうか。東京都の小学校に入ったら暖房に使われていたコークスがほぼこれと同じ匂いでした。

石炭は、鉱物で、固体で、それ自体精製する技術がない時代は、それ自体燃料でした。今は石炭だって精製出来るので、SLといっても昔の匂いはしません。最上等の無煙炭は、煙が少なく発見されにくく発熱量が高いため、かつては軍艦用燃料に重んじられました。イギリスで産出し、イギリス軍艦は好んで使用していました。ドイツは最上等の無煙炭は産出せず軍艦は煙を発見され易かったのです。第1次世界大戦でインド洋通商破壊活動で悪名を轟かせていたドイツ海軍の軽巡洋艦、【エムデン】は、煙を日本海軍の巡洋戦艦、【伊吹】に発見されて、同じ艦隊主力のオーストラリア海軍の軽巡洋艦、【シドニー】に撃沈されてしまいました。石炭の質で結果が大きく変わった出来事です。

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