ヨーロッパの自動車の時計は?

海森 寄与師老です。昔は全世界で、自動車電気系とは別系統電源系の電気式の時計(’70年代迄はクォーツでもなかった)が組み込まれていたものですよね。最近のでは、メーターかラジオにビルトインされていますね。

この場合はラジオやECU(エンジン・コントロール・ユニット)の内部クロックを時計としても利用している訳です。ところがこの内部クロックは時計としては4級品です。1ヶ月で5分狂うのは当たり前。しかも温度依存性と印加電圧(バッテリーの状態)の影響も大きくて、夏冬で狂い方も変わります。そもそもが時計ではないのです。現在の日本でもこのレベルですが、カーナビに内蔵の時計は位置情報を得るのと同時に時刻表示も同期させます。いわば《なんちゃって電波時計》です。スマフォと同じといった方が解りやすい?

ヨーロッパでは域内に時差がある上に、サマータイム/ウィンタータイムの切り替えもあります。自動車自体が移動体であり、毎度時刻を合わせるのは至難の業でした。しかも、移動速度が速く、距離も大きいため、ラジオのチューニングも至難の業でしたね。’95年からヨーロッパではDAB(デジタル・オーディオ・ブロードキャスト)が運用開始になり、全てクリアできました。DABからの時刻信号で同期できる様に。しかも双方向通信で位置情報も得ることができるので、国境をまたいでも時刻帯の修正もされます。さらにラジオ放送の他に道路情報なども得ることができます。フランスの道路情報を独語で得ることも可能です。ヨーロッパでカーナビが一般的でないのはDABが高機能であることが原因ですね。ヨーロッパでヨーロッパ車に乗るなら、すでに問題は解決したといえるでしょう。ところが、日本車やアメリカ車だと、依然問題を内包しています。チューナー自体はDAB用になっているのですが、元々アメリカ向けと同じ、車体、インパネ、であることが多いので、メーター内蔵時計(ECUクロック)だったりして、チューナー側は時計なしにしていたりするのです。寿司を食う前に菓子パン食って満腹の様な、なんとも勿体ない話です。あるいは、DABのインフラがあり、不要に近いカーナビを搭載すれば、別の手段で問題点が解決されます。

ヨーロッパ車でも日本向け仕様のチューナーはDABではありません。並行輸入ヨーロッパ仕様のままのDABだったとしたら、受信できませんので、日本用のチューナーに交換する必要があります。どちらも、自動車時計はチューナーかECUの内部クロックによる時計になります。狂うのですが、走って行ける範囲に時差はないですし、サマータイム/ウィンタータイムの切り替えもありません。カーナビに内蔵の時計なら、《なんちゃって電波時計》なので、別の手段で問題点が解決されます。でも、時計のためだけにカーナビ買います?

P.S1 ヨーロッパ車でもモーターサイクルはDAB同期時計ではありません。理由はラジオは聞く必要がない(聞くことはできない)ので、チューナーを持っていないからです。ECUの内部クロックによる時計です。こんなものなら、付いていない方が良いです。

P.S2 ’70年代の日本車のメーターパネルは自動車電気系とは別系統電源系でしたね。凄く狂いました。修正も簡単でした。機械式の腕時計に合わせましたね!だったら自動車時計なんて、いらなかったのでは?メーター周りを煩雑にするためだけ存在したのでしょう。現行のBMW MINIは、メーター内にチューナーをビルトインした合理的な設計。メーター/チューナー別体のものは、インフォメーションだけCAN通信(PCでいうところのUSB通信みたいなもの)でメーター内に持って来たりします。

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