イギリスは職種のヒエラルキーが!

海森 寄与師老です。私が4輪のレースの仕事をしていた時のことですが、今でもです。私はエンジニアです。メカニックではありません。日本では明確に区別してもらえません。仕様を決めたエンジニアが、メカニックに頼まず組み込みをすることも良くあることです。それが好きでエンジニアになる者だって多いのです。だったらメカニックになれば良い?修理や組み込みだけでは、効果検証や、未だ見ぬモノを世に出す喜び、はないですね。

イギリスでは、エンジニアとメカニックは仕事の内容が明確に違い、日本的にエンジニアが何でも行うのは越権行為。エンジニアはメカニックに、仕様説明、作業内容、を伝えて、作業をしてもらいますが、メカニックには仕様の決定権はないのです。レースの現場で、作業が終われば、メカニックはホテルに帰れますが、エンジニアは明朝の組み込み仕様を決定する迄はホテルに帰れません。テレメトリーデータを読んで、ECUデータを作って。

此処迄は職種が別なだけと思えますが、ヒエラルキー(独語!)が、階級があるんです。解り易いのは食事で、階級の一番上がレーシングドライバーです。次がチームオーナーとエンジニア。その下がメカニック、最下層がチーム広報やグッズ販売等の間接部門です。階級格差を設けるために態々別メニューにするなんて、日本人の考えとは合致しないし、合理的でありませんが、これが文化です。【余所者の話を聞け!】は通用しないのです。

私と同じ勤め先のメカニックで、私より勤め先の役が上の者でも、現地、現場では職種のヒエラルキーが優先です。メカニックの食事に肉が入っていなくても、エンジニアの食事は肉が入っていたりします。イギリス式の食事ですから、弄れば弄る程不味いですけどね。現地、現場でチヤホヤされても、勤め先に出勤では、勤め先の役でイジメ返されますよ。4輪レースの仕事(元々はイギリスの貴族の遊び)は、人間関係がおかしくなりますよね。そんなことでイジメ返す様な者では、人間としてどうなのよ?ということになりますけどね!

P.S 同じレースでも2輪は、元々イタリアやスペインや敗戦国の平民の遊びでしたから、ヒエラルキーはありません。ライダーもチームオーナーもエンジニアもメカニックも厨房も皆で仲良く食しますよ。他チームの食事だって摂ることが可能です!ライバルメーカーのワークスチームの食事は美味かったです!イタリア料理やスペイン料理をベースにした、インターコンチネンタルな食事ですから、4輪レースチームの食事とは雲泥の差ですよ。階級格差を設ける上位の者達の方が、【井の中の蛙】で、実は旨みを取りこぼしている、というのは、ヨーロッパでも同ですね!【武士は食わねど(不味くても)高楊枝】ですかね?

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